それを見ていたんだろう。
「やべっ、起きたよ!」
「話しかけに行く?行っちゃう?」
「えー、ハズいって〜!」
後ろからギャル達の黄色い声も届く。
うん、関わらないようにしよう。
それが無難だよね。
関わると、きっとロクなことがない。
「おい」
そう思って顔を背けた時、低い声が聞こえた。
知り合いでもないし、あたしに言ったわけではないからスルー。
普通、初対面の人に『おい』とか言わないし。
「おい、聞いてんのかよ」
突き刺さるような視線と、さらに低くなったその声。
すぐ近くで聞こえたせいか、まるであたしに話しかけているようだった。
え……?
あたしに、言った?
違うよね?
だって、知らない人だし。
きっと、他の誰かだよね。
「お前だよ、お前」