ダイニングを出る時、ふと後ろを振り返った。 すると、なぜか久間君と目が合って。 ーードキッ 彼は薄っぺらい唇の端を上げて妖しげに笑っていた。 大きくてキリッとした目に、爽やかさを主張するサラサラの黒髪。 奏太より随分背が高い久間君は、これ以上成長しないんじゃないかってほど男らしくガッシリしている。 爽やかなイメージなのに、この笑顔を見るとやっぱりそうは思えなくて。 なにか裏にとんでもない本性を隠していそうな、そんな笑顔だった。