冷たく突き離すことはせず、優しく言うのは晴斗なりの優しさで。


それだけ彼女を好きだった証なんだろう。


それでも肩を震わせる早苗さんを、晴斗は困ったように見つめていた。



なんだかもう、わけがわからなくて。


そんな晴斗の横顔を見てたら、まだ未練があるんじゃないかって思ってしまった。


振られたわけだし、未練があってもおかしくない。


それだけ大事に想ってたんなら、なおさら。



なんだか泣きそうになって、下唇をギュッと噛み締めた。


あたし……何を浮かれてたんだろう。


なにカン違いしそうになってたんだろう。


そうだよ。


人の気持ちは変わるんだ。



今あたしを好きだと言ってくれてる晴斗だって、こうやって早苗さんに気持ちをぶつけられたら……。


明日にはもう、あたしのことなんて好きじゃなくなってるかもしれない。