パスタはすっごく美味しかったし、久間君といることに特に苦痛を感じることもない。


それどころか、楽しいとさえ思っている自分がどこかにいる。


こんなはずじゃなかったのに、なんでこんな気持ちになるんだろう。



「手、手を離して……っ」



お店を出て歩き出すと、久間君はなぜかまた手を握って来た。



「なに?照れてんの?」



「ち、違うからっ!」



意地悪くクスッと笑われて、ムキになって言い返す。


なんであたしが照れなきゃいけないのよっ!



「いいだろ、減るもんじゃあるまいし」



よくわからない理由で、結局手は離してくれなかった。


そしてたどり着いたのは。



「ここって……」