「パスタか、了解」
久間君はそう言うと、あたしの手を取って歩き出した。
「ちょ……ちょっと!」
なんで、手を……?
「迷子になりそうだからな」
ビックリして目を見開くあたしに、久間君がクスッと笑う。
そして、さらに手の力を強めてギュッと握った。
「な、ならないから離して」
「ムリ」
えー!
なんでっ?
もしかして……本当にあたしのことを?
いや〜、ナイナイ!
この辺を知っているのか、久間君は改札を出ると迷うことなく近くの駅ビルの中に入って行く。
久間君に引っ張られながら、人を避けてなんとかついて行った。
エレベーターで最上階に上がり、あたしが食べたいと言ったパスタのお店を探して歩く久間君。



