雪崩のように人が押し寄せて、それを避けるようにさらに強く引き寄せられた。 ーードキッ 久間君の胸に額が当たり、抱き締められてるような形になる。 「すっげえ人だな。大丈夫か?」 低く囁く声が耳元で聞こえて、鼓動がさらに速くなった。 「う、うん……」 なんでこんなにドキドキしてんの? ありえない、相手はあの久間君だよ? 何かの間違いなんだからっ。 「だ、大丈夫。ありがと」 チョンと軽く胸を押す。 「あ、わり。つい」 久間君はそう言ってあたしからパッと離れた。