砂~限りある時間のなかで~

本当は奢ってもらうつもりだったけど。そんなことは口が裂けても言えない。

「じゃあ…ホットココア。」

「お腹は空いてないの?」

「うん。これで大丈夫。」

「あっそ。」


だって…ドキドキするから、お腹空かなくなるよ。


「ホットココアとブラックで。」

「かしこまりました。」


ぶっ、ブラック!!
大人ー。

「なに?」

「いや…何でもない。」

このお店の雰囲気と目の前にいる岡本くん。

これはかなり緊張するよー。

「朝、見かけた。」

「え?」

「勇希たちのこと。」

「あっ、あー…。そうなんだ。」

深田くんの名前を聞くだけで、胸が苦しくなる。

この気持ち、なくなればいいのに。そしたら、スッキリするのに。