「勇希ってずるいよね。」

「何が?」

「べっつにー。」

「何だよ。」

美咲は時々そう言ってくる。
答えを言おうとはしない。

「勇希の存在って、私にとって大きいんだよね。」

「うん。」

「だからね、」

ふわっと香る甘い香水が鼻に来て、俺に抱きついてきた。


「ずっとそばにいてね。」

「うん。」

それなら、堂々と付き合おう。


その一言が言えなかった。

もしかしたら、俺から言うのを待ってるのかもしれないと思った。でも、ちゃんと口で言ってもらわないと分からないこともあるから、なかなか言えない。


今のままでいいなら、
俺は何も言わないけど。



それぞれ友達の元へ行き、お弁当を食べた。