暖かい背中から離れて、
急に寒くなった。

「諦めた方がいい。あいつ、一途だから。」

「分かってるよ。」

誰だって分かる。
あの人の性格を。

きっと、彼女想いなんだろうなって思うし。



「じゃあな。」

「うん。ありがとう。」


いっそのこと、岡本くんでいいや。


って思うけど、どうしてもこの上から目線の性格が気に入らない。


「でも、本当はいい人だからね。」


岡本くんの姿が見えなくなった時、私は家に入った。

「みずき?」

お母さんは玄関まで駆けつけてきて、

「大丈夫だった?」
と聞いてきた。


普通なら、楽しかった?
って聞くけど、これが私と普通の人の違い。

「大丈夫だよ。」
「そう。ならよかったわ。」