砂~限りある時間のなかで~

「隠しててごめんね。」

普通なら嫌いになるのに、
嫌いになれない。

「お似合いじゃない!」

これはもう吹っ切るしかないね。
変なテンションかもしれないけど、気にしない!


「お似合いだって。嬉しいな。」


顔を見合わせて笑う光景は目を塞ぎたくなるくらいで。



「みずき、ちょっといい?」

「うん。」


何時間か経ち、ナナセに呼び出された。


「辛いんじゃないの?ごめんね。私のせいで。」

「何で謝るの?ナナセのせいじゃないよ。」

「だって…まさかあの子が彼女だなんて思わなかった。」

「私もだよ。」


どうして隠す必要があったのか。それが分からない。


付き合ってるなら、付き合ってるって言えばいいのに。