なるべくみんなにはバレたくないから、
場所を移動した。


屋上はほとんど人気がいないから、
ここなら安心だ。



「あのね…」


言葉が詰まる。
ナナセは私をじっと見つめる。


「私、病院に行った時に言われたんだけど…ガンなの。」



「うん…。」

「それでね、もうどうにもならないって。だから…その…余命半年しかないの…」

「…。」


私は今までナナセの涙を見ることはなかった。
ナナセは泣いていた。

そして、私を抱きしめてくれた。


「辛かったね。苦しかったよね…」

私も涙を流した。