彼との出会いは、とても不思議な出会いだった…。

帰り道、雨がしんしんと降るなか、
「ヤバい~っ!!」
谷島はな、絶賛アルバイト遅刻中。
「今日は接客を任せて貰える日なに~っ!!」
雨差しが強くなるなか、傘もささず私は走り続けた。
ふいに、いつも見慣れた公園の前にさしかかった時、ひび割れたアスファルトの上に一つのリンゴがあるのを目のすみに捕らえた。
「?、何でこんな所にリンゴ?」
私は吸い込まれるように、急いでも気にせずそのリンゴを手に取った。
ふと、そのリンゴに穴があるのに気がついた。
しかし、その穴は一つに限らなかった。
一つ二つ三つ…、まるで悲しんでいる顔のように空いていた。
でも、その悲しい顔は泣くこともできないままもがいてる様に思えた。

「やっと…会えた…。」


ー、これが私と彼の出会い。