十日と言えば、両手指の数。
九月になれば、もうあたしはこの世にいない。
「……何も出来なくて、ごめんなさい……。」
美嘉先生がそう言ったことだけは覚えていて。
気づけば、いつもの病室。
実際はあたしが窓を割ったから、今までの301号室じゃないんだけど。
前の部屋も今の部屋も、対して変わらない。
「千鳥?」
隣にいる昴は、不安そうな目であたしを見る。
あたしも泣き虫だけど、昴も相当な泣き虫だったよね……。
ソッと、窓からの風で揺れる昴の髪に触れた。
サラサラで、女の子みんなが妬けちゃうぐらい柔らかい。

