九月一日まで、あと二十日。
ほんの短な千鳥の命。
……俺に出来ることは、お前を笑わせることだけ。
千鳥との約束を守って、最後の最後まで千鳥を笑顔でいさせてあげることだけだ。
「わたあめ、食うか。」
「今年は二人で一つのわたあめが良い。」
「浴衣、着て来いよ。」
「蝶柄の浴衣で良ければ。」
「ヨーヨーいる?」
「赤のヨーヨー。昴は青のヨーヨーで、お揃いにしよ。」
千鳥の手を引いて海から出て、持って来たタオルで体を拭かせる。
風邪なんて引かれたら、堪ったもんじゃない。
「帰ろう、千鳥。」
「……うん。」
微かに千鳥は頷いて。