空に描かれた花は、今でも忘れてない。





花火大会最初の花火の色も、千鳥の好きな赤。





何気なく着こなされている浴衣が大人っぽくて。


ちびちびと少しずつわたあめを食べる姿が可愛くて。


ほんのり頬を染めて打ち上げられた花火を見上げる横顔が色っぽくて。





重ねた手を引いて、華奢な体を抱きしめた。





千鳥が俺の気持ちに気づいていたのか、はたまた、俺と同じ気持ちを抱いてくれていたのか。



今でもその答えは知らないけど、千鳥は俺を拒否しなかった。





優しく背中に腕を回してくれて、……一度だけ、キスを交わした。





俺にとってのファーストキス。



多分、千鳥にとってもファーストキス。