ふと思い出す、夏の日。
花火大会。
俺が引っ越しするからと、友達のみんなが気を使って、二人きりにさせてくれた。
「みんな、迷ったみたい。バラバラに行動しよう、だって。」
無邪気に何も気づかずそう言う千鳥が、好きで仕方なかった中学一年。
子供だったけど、中学生なりの本気の恋だった。
二人きりで屋台を回って。
二人きりで花火を見た。
“花火大会”だから、屋台は少ない方。
それでもチラホラと出されている屋台で、千鳥が食べたいと言ったわたあめを買ってやった。
千鳥が好きだと言った赤のヨーヨーを取ってやった。