「あぁ、それな。迷信とかいっぱいあるけど実際は。お盆辺りに海水の温度が低くなって、心臓麻痺や筋肉の痙攣を起こしやすいからだと。」
「昴、詳しいんだ。」
「……まぁ、最近医学に興味もってな。」
俺の答えに、千鳥は興味無さそうに「ふーん。」と言うだけ。
……興味無いなら聞くなよ。
腰辺りまで水に浸かったところで、千鳥はピタと止まる。
俺の手を離して、その場で仰向けに浮く。
「……あたしはもう死ぬ運命だから、きっと心臓麻痺でも筋肉の痙攣でも死なないよ。」
「…………そんなの、わかんねえだろ。」
俺も同じように浮いて、千鳥の手に指を絡めた。