八月十二日。
世間はお盆。
『海が見たい。』と言った千鳥。
何とか医者から許可を得た俺達。
バスに乗って、近くの海までやって来た。
「潮のにおーい!!」
バスから下りた途端、千鳥は裸足になって海に飛び込んでいく。
「おい、お盆の海は危ないんだぞ。」
「どうして?」
また海から上がって、俺の手を取り、また海へと戻る千鳥。
足に感じる海の冷たさが気持ち悪い。
でも夏の暑さの中、ひんやりとした感じが気持ち良い。
「地獄の釜の蓋が開くんだと。」
「地獄の釜?」
プッと、千鳥が吹き出す。
コイツ……信じてないな?