「…ごめんなさぁい」
嫌々謝った。
本当にムカつく。
「…申し訳ありません」
内藤…こんな教室の皆に見られる
場所で説教とか…ありえない。
「席戻れ」
「はい」
「ありがとうございます」
早苗が怒ってる。
あぁ、それだけじゃない。
クラスの女子皆が私を睨み付ける。
男子皆が変な目で見ている。
「…公開処刑」
そう呟くしかなかった。
そういう言い方しかないもん。
「ちょ、なに結城?あんた
雷くんと何かやってたの…?教えて」
…まずい。早苗が本気で怒ってる。
「…ちょっと学校を案内してただけ」
「…嘘でしょ?そんなの ねぇ 結城?
本当の事を言って?」
「本当だって」
「嘘だよ!まぶたがピクピクしてる」
「それが何?眠いだけだよ」
「何で頑なに隠すの?私達友達じゃ
ないの?」
「じゃあ逆に聞くけど、どうして
友達のことを疑うの?信用出来ない?」
…喧嘩。早苗、声大きい。
「ちょ、誰か止めろよー」
「早苗さん、結城さん、待って!」
「おい、何喧嘩してんだよ!」
数々の仲裁の言葉が教室に飛び交う。
「雷くんと…何をやってたの?」
「…だから…案内してたって…」
ガン!
頭に響く痛感。
目の前の世界が逆さまになる。
目が…閉じてゆく。
これが空手部イチの早苗パンチ。
パンチなんてもんじゃない。
チョップじゃないか。
うっすらと見える世界。
眉間にシワを寄せた早苗と…
焦る内藤に…
私を抱え込む…雷くん。
「恥ずかしいから…そんなこと
やんないでよ…」
それが私の最後の言葉だった。

