瑛は庭に裸足で降りていた

梅の木の前で蕾を見ていた


「梅の花 一輪咲いても
梅は梅」


「沖田さん!」

「また裸足で、怒られますよ!」

「あ!」

「梅、好きなの?」

「え!?あーはい」

目を細め優しく瑛を見る

「この蕾……他のと少し離れているね。
私みたいです」

「沖田さん?」

「私、皆に馴染めなくてね。近藤さんの試衛館に入ってもそれが続いて……
最近は、皆さんとお話しできるようになりました!
でも… 時々、不安になるんです」

「どうして?」

「皆と違う気がしてね……
取り残された感じがするんだ……ははっ」

「沖田さん…あたしも……」

沖田が瑛の背中に手を当てる

「うん。なんとなく瑛も同じかなって。
さっきの俳句、いいでしょう?
他のと近くなくても、まだ咲いてなくても、大勢の中でも、たった一輪でも…
梅は梅!瑛は瑛!私は私!」

「沖田さん!!
沖田さんの俳句?」


「……いえ。私はもっと上手いです!」

「じゃあ、誰の?」

「豊玉さん!!」

「知らない」

「ぷふっ。今度、紹介します」

「ぜひ!!」




土方が二人のやり取りを聞いていた


『勝手に人の俳句教えてんじゃねぇ!!』



子供の頃の沖田と瑛が、確かに似ていると

懐かしい気持ちになって、少し切なくて

二人の会話に割って入れなかった