「新選組だ!!手向かう者は斬る!」

大きな声と共に浅葱色の集団が、屋敷の中へ入ってくる


バサッ ギシュッ 肉の斬れる音


瑛は頭を少し上げ襖を見る…


ガターーーン


男と一緒に襖が倒れる


浅葱色の羽織、長い髪を高めに一つ結んだ美丈夫が刀にべっとりと血をつけて、目を見開く!

瑛を見つけた

瑛は血のついた刀が頭の上に上がるのを見て『これで死ねる』そう思った


「おい!女!しっかりしろ!」


斬られたのは、縄だった…


手首は縛られたまま、だらりと落ちてきた

美丈夫が瑛の頭を上げ、顔にへばりつく髪をのける

唯一来ていた肌襦袢も着崩れ、水に濡れ、全身が露わとなっていた

美丈夫が羽織を瑛にかける

「立てるか?」

瑛は無反応、無表情だった

「おい!聞こえてないのか?」

美丈夫が顔の前で手を振る

「見えるか?」

美丈夫が困った顔をする

「土方さん!! なっ!!どうしたんです?」

美丈夫が増えた

瑛の手首の縄を斬る

「ひどい!!許せませんね!」

後から来た美丈夫が、瑛の頭を撫でる

瑛は何をされているのかわからなかった

『また売られる』

それしか頭になかった

「さぁ!ここをでましょう!」

瑛は右手を握られ引っ張られるが、するりと下に落ちる

「おい!どうした?」

また美丈夫が増えた

「永倉!この女… 痛めつけられたみてぇでな。」

「ひでぇことされたな…
もう大丈夫だ!! 助けにきた!」

「俺たちについてこい!」

土方と呼ばれた男が右手を差し出す



『ここで死んだ方がましだ』


最後に入ってきた永倉と呼ばれた男は

刀を持ったままだった

瑛はその刀に飛びついた


「うわっ!!危ねぇ!!」


瑛の動きは速かったが、永倉は交わした

刀を上に高く持ち上げ瑛にとられないようにする


瑛は視線を合わせずに、土方の刀を抜刀する

「!!!!おい!!!!」


刀を自分の首に当てる…


二番目に入ってきた美丈夫に手刀を後ろ首に落とされ崩れるとこを土方が受け止めた


「総司、助かった!」


瑛の首には、土方の刀が触れた為、血が出ていた


「よほど怖い思いをしたんだな」


大事な者を抱えるように、瑛を屯所へ連れて帰った