翌朝


『あれ?山崎さんがいない……』

瑛がしばらく天井をみていたら

「入るよ」 知らない声がした

お粥を持って入って来たのは


「はじめまして!井上 源三郎といいます!皆から源さんと呼ばれているから、源さんと呼んでね?」

「斉藤 一だ。よろしく頼む。」


山南から聞いていたが、まだ会ってない幹部だった。


瑛は、布団から起きぺこりとお辞儀した

無表情ながらも、きちんと挨拶ができた


「お粥、僕が作ったんだ!よかったらどうぞ! じゃあ、失礼するね!」

「失礼」

お粥が乗ったお盆を置いて二人は部屋から出た

斉藤が襖を閉める前に一礼する

瑛も一礼する


『どうしょう……』


空腹を感じない瑛にとって食事は苦痛

しかし、せっかく作ってくれたのに、毎回食べずにいることに少し心が痛む



しばらくお粥と にらめっこをして…負けた


『一口だけ頑張ろう……』


お茶碗を手に取りおさじですくい、ふーふーと湯気を飛ばす


『ここの人は皆、優しい……
あたしと違い、綺麗だ……ここにいればあたしも綺麗になれるかな…?』


考えながらふーふーして、お粥をみたら

真っ赤に染まっていた

現実には、そうなっていないが、瑛にはそう見えた

『……ふーふーしても馬鹿は移らないって、原田さん言ってたけど、あたしの汚れはお粥に移った……

あたしは汚い……お粥を汚してしまった』


おさじをお茶碗に戻した

真っ赤になったお粥がお茶碗のお粥に触れて白くなる


『うわぁ。よかった!!』


瑛は心の中で、凄く喜ぶがまったくの無表情






お粥の湯気がなくなるまでずっと見続ける