「前の廊下を右方向に進み、突き当たって左にある階段を五段下った先に鉄扉がある。そのノブのすぐ脇にある赤煉瓦を押すと階段が回転し、コンクリート打ちっ放しの通路に出る。それを直進して……」
「って待ってください! 何の話しですか?」
この事務所そんなに広いのか?
「眠ってる場所だよ」
そこで先代は時計に目をやった。
「そうだな……そろそろ行くといい」
そして何を思ったか、先代はソファをひっくり返す。
「何やってるんですか?」
ソファの下から何かをガシッと引っ張り取ると、俺に突き出した。
「必要になるから、持って行け」
もっ持って行けって、傘が?
雨漏りか何かしてんの?
「それと……これだ」
先代が胸ポケットから出した紙は黄ばんでいて、年季が入っているように見えた。
「頑張れよ」
がっ頑張れ?
意味が分からなかったが、先代にわたされた傘と紙を持って俺は部屋の前の廊下を右に曲がり、直進した。
―――――ところまでは良かったが、あとはどうだっけ?
あんな複雑なこと言われて一回で全部覚えられる方が凄いんだよ。
さっぱり覚えていなかったから部屋に戻って先代に……って何でシャッター下がってんだよ?
閉店ガラガラか?
「先代! 先代そこにいるんでしょ? 道順教えてくださいよ」
ガンガンとねずみ色のシャッターを叩いて言ってみたら、案外呆気なく声が聞こえてきた。
「“ちぃず”を頼りに行け。健闘を祈る」
地図? 健闘? そして締め出し。
何だ、コレ。
俺に何をさせる気だよ。
それからは何度先代とコンタクトをとろうとしても、声は帰ってこなかった。
意味が分からなくて腑に落ちないが、行く他はない。
俺は先代がいやに強調した“地図”とやらを広げてみた。
あ……?
それは、カメラマンがカメラを構えて見てる奴にシャッターを切りそうな写真だった。
地図じゃねぇじゃん!! ハイチーズ! じゃんこれ!!
つっかえねぇ、マジつかえねぇ。
いらんわ、こんなもん!
「あ、モカヒン。言い忘れたけど、制限時間は十五分だ。そして三歩進んだら二歩下がるんだぞ?」
「って待ってください! 何の話しですか?」
この事務所そんなに広いのか?
「眠ってる場所だよ」
そこで先代は時計に目をやった。
「そうだな……そろそろ行くといい」
そして何を思ったか、先代はソファをひっくり返す。
「何やってるんですか?」
ソファの下から何かをガシッと引っ張り取ると、俺に突き出した。
「必要になるから、持って行け」
もっ持って行けって、傘が?
雨漏りか何かしてんの?
「それと……これだ」
先代が胸ポケットから出した紙は黄ばんでいて、年季が入っているように見えた。
「頑張れよ」
がっ頑張れ?
意味が分からなかったが、先代にわたされた傘と紙を持って俺は部屋の前の廊下を右に曲がり、直進した。
―――――ところまでは良かったが、あとはどうだっけ?
あんな複雑なこと言われて一回で全部覚えられる方が凄いんだよ。
さっぱり覚えていなかったから部屋に戻って先代に……って何でシャッター下がってんだよ?
閉店ガラガラか?
「先代! 先代そこにいるんでしょ? 道順教えてくださいよ」
ガンガンとねずみ色のシャッターを叩いて言ってみたら、案外呆気なく声が聞こえてきた。
「“ちぃず”を頼りに行け。健闘を祈る」
地図? 健闘? そして締め出し。
何だ、コレ。
俺に何をさせる気だよ。
それからは何度先代とコンタクトをとろうとしても、声は帰ってこなかった。
意味が分からなくて腑に落ちないが、行く他はない。
俺は先代がいやに強調した“地図”とやらを広げてみた。
あ……?
それは、カメラマンがカメラを構えて見てる奴にシャッターを切りそうな写真だった。
地図じゃねぇじゃん!! ハイチーズ! じゃんこれ!!
つっかえねぇ、マジつかえねぇ。
いらんわ、こんなもん!
「あ、モカヒン。言い忘れたけど、制限時間は十五分だ。そして三歩進んだら二歩下がるんだぞ?」

