明日はアシタの風が吹く!【最終話】

「雨が降りそそぐ」

「あっ雨!?」

そっそれで、これが……って、ただの雨くらいなんだよ。

「雨くらいいいじゃないですか」

「酸性雨だ。ハゲてモヒカンにできなくなる」

ソレは困る!!

「ここに降り注ぐ雨は酸性が強すぎて、即刻脱毛だぞ」

即刻脱毛? 困る、それは絶対に嫌だ! でもっ!!

「先代っ!」

「バカ!!」

俺は手に持っていた傘を先代に向かって投げた……が、届かない。

「先代約束してください。また変わらない姿のまま、俺と会うって」

多分先代は約束するだろう。

でもきっとその約束は諦めに似た笑みに包まれたものだ。

だから俺は先代の声を聞く前に走り出した―――――

「約束できないかも~~~~」

「え~~~ぇっ!!」

立ち止まった瞬間、シュンシュンッ!!

ヤベッ!!

俺は慌ててしゃがみ、しゃがんだまま方向転換。

「約束してくださいよ!」

刹那、先代の姿が消えた。

「せっ先だ~~~~~~~~~いぃっ!!」

何だ? 何が起こったんだ?

もう三分経ったのか?

いや違う、だって硫酸は降ってきてない。

「先代。先代聞こえますか!?」


俺がいくら呼びかけても先代からの返事はなかった。

先代…………分かりましたよ、俺、行きますから!

歯を食いしばり、拳を握って俺はまた走り出す。

床がパカッと開いて現れた剣山を飛び越え、横から槍に刺されないよう、くねらせて進みながら、背後から追いかけてくる巨大岩に潰されないように走る。

走る走る走る!!

ひたっひたひたひた……

さ~~~~~~~ぁあ!!

マァズイ三分経っちまった!!

終わりか? 俺もついに終わりなのか?

俺は明日の風になびかせる、大事な大事なモヒカンを手で守りながら走った。

びしょ濡れになりながら、やっとの思いでドアの前に付くと、そこにはちょっとした庇があって、休むことができた。

いるんだこの中に、あの人が…………

俺は深呼吸して、すっかりダレてしまったモヒカンをシュルリと延ばす。

が……したたる雫、垂れる髪。