「お父様?私(ワタクシ)、この別荘とても好きです。さっきなんか、お庭の小鳥さんとお話ししてきましたのよ。」

緑が父に優しく話し掛けた。

「そうか、そうか!鳥と話しをしたのか、お前が嬉しいと私も嬉しいよ。」

「それで、どんな話をしたのかな?お腹が空いたわ。とか言っていたか?!」

父は少しからかった言い方で緑に話し返した。

「もう!お父様ったら」








ここは、とある田舎の海沿いにある一ノ条財閥の別荘である。

緑とその父、龍之介(リュウノスケ)は夏休みを利用して別荘で緑の療養もかねて泊まりにきたのです。

「ねぇ、お父様?」

「なんだい緑。」

父が優しく微笑みながら答えた。

「私、お願いがあるの。絵を描きに出掛けても良いかしら?お願いよ。」

父が心配そうな顔をして言った。

「大丈夫か?お前は気管支が弱いんだ、出掛けてもよいがあまり無理をするんじゃないぞ。」

緑は笑いながら父に抱きついた。

「ありがとう!お父様!!気をつけて行って来るわね。」

こうして緑はスケッチブックと鉛筆を二本持って絵を描きに出掛けた。