ー…降り注ぐ雨の雫があまりにも
美しくて、
君のあの日の涙と重なった。
どうしても僕には忘れることが
できないんだ、君だけは。


「失恋曲なんだね、今日は。」

不意に聞こえるその声にビクッと私は震えた。その声の主は、私の幼馴染みの、橘 真麗愛(マリア)だった。

「もぉー…、びっくりさせないでよ真麗愛。」

私は彼女に苦笑いを向けながらそういった。

「えへへ、ごめんね?」

無邪気な笑顔を見せながらそう言う彼女を許さずにはいられなかった。
丸い目に長いまつ毛、筋の通った高すぎない小さな鼻、透き通った綺麗な肌、小柄な体型…the 女の子っていう可愛らしい容姿の真麗愛に、そんな風に謝られたら…
どんな奴だって許すでしょーよ。

「真麗愛は今日も可愛いねっ」

ニコニコする彼女に思わず私はそう笑いかけると、

「聖愛は今日も綺麗だよ?髪の毛は…ボサボサだけどっ!」

と、真麗愛は意地悪な笑顔を向けながら私にそういった。
あーあ、こんなとこも可愛いなぁ…なんて10年間も思ってる私は、相当真麗愛が大好きなんだろう。