湿った匂い、カーテンから差し込む薄暗い光り…
「今日は雨かぁ…」
少しだけ…いや、かなり残念に思いながら私は温かい布団から出て、カーテンをあけると、窓の先に広がる景色は案の定、灰色の雲と沢山の雫だった。
はぁ…
「つまんないなぁー…」
そう呟いて、カーテンを締めて私はクローゼットを覗いた。
2月下旬の雨はまだかなり空気を冷たくしていた。
ブルブルっと震えながら、ジーンズとTシャツ、厚手のパーカーを取り出した私はクローゼットを閉め、ストーブの前へと向かった。
低体温、低血圧、寒がりの私には着替えるときのストーブは神様みたいなものなのだ。
「あぁー…ストーブ様々♡」
温かさが心地よくて着替えることを忘れた私は、ストーブの前で丸くなりながら、無意識に歌を口ずさんでいた。