真っ暗な中に小春がいる。
俺が小春に触れようとどんなに頑張っても
触れられなかった。
そして俺の後ろから別の男がやってきて、
小春の手を奪う。
2人は俺に背を向け、ゆっくりと歩き出した。
「行かないでくれ!!小春…!」


ぼやける視界と、周りの声が
俺に現実をつきつける。
「空良!先生、そらがっ!」
母さんが大きな声で人を呼ぶ。
「空良くん。話せますか」
1人の看護婦が俺に声をかける。
「ここどこですか。」
「よかった。大丈夫そうですね。
ここは病院ですよ。貴方は学校で
倒れてここへ運ばれました。」
やっぱり。
そのあと母さんだけ呼ばれて、
俺は広い病室にひとりきりになった。