長い授業がとりあえず午前中は終わり、俺は正臣と一緒に屋上で飯を食べていた。
「はぁー…マジで授業ながい」
「お前ほぼ寝てんだろ」
「ん〜だけどさあ…起きて時計見たら全然進んでねーの!めっちゃ絶望感だからね、これ!」
「あーうん。なんかそれは…わかるかも」
まぁだけどさ、お前と違って俺は天才じゃないからちゃんと授業聞いて勉強しなきゃいけないの。
はあ、天才と違って。
天才じゃないからさ、俺は。
「玉子焼きちょーだい」
「やだ」
「ウインナーちょうだい。…タコさんのやつ♡」
「…きもい」
こいつはこんとに中学からこんなノリで、懲りない。
そして高校生になった俺の弁当に、器用にタコの形をしたウインナーを入れる母さんもやっぱり懲りない。
「ほらよ」
「え!タコさんくれるの!?きゃー!琉ちゃんだいすき!」
「はいはい」
「あーんして」
「…」
さすがにマジで引いた。
そしてそのまま箸でウインナーをぐさっと挿して、自分の口の中に放り込んだ。
「あー!!!!オレのタコさん…!!」
「…ちっ」
「あー!今舌打ちした!琉ちゃん今舌打ちした!不良!」
ほんっと馬鹿、こいつ。
そんな話をしてると、不意に屋上のドアがい開いて、
ーーガチャ
「如月くーん、…いますか?」
…誰。
