「珍しいな」 俺がそう言うと、アルムは微笑んで。 「ちょっと武器に注ぐ魔力の調節をしたくて」 アルムは「メンテナンスみたいなものだよ」と付け加えた。 それから俺達は特に言葉を交わすことなく、俺は本を読み、アルムはベッドに腰掛け窓の外を眺めた。 いつものことだった。 言葉を交わすでもない、何をするでもないのだが、二人で居るこの空気が心地よい。 恋人ではない。 しかし俺達には特別な絆があった。 けれど俺は、アルムに別の感情も抱いていた。