あの日の空の色


“社長が時田の後輩”だというのは、どうやら本当らしかった。
時田が寄った事を伝えると、


『うわ…。時田クン来たんだ。中古のトラック探せって頼まれてたんだよなぁ。』

面倒くさそうにそう言った。


社長はアタシの1つ年上で、仲間と二人でこの中古車屋をやっていた。
元々この社長はアタシがバイトする店の客で、ちょうど昼間の仕事を探してたアタシに、『うちで事務の仕事しないか』と声をかけてきた。

最初は《ラッキー♪》と思って飛びついた話だったけど、今は少し後悔していた。


“事務”だなんて言ってスカウトしたくせに、アタシの仕事は事務所の留守番と洗車と運転手だった。
しかも給料は、最初の話とはずいぶん違い、馬鹿にしたような金額しかもらえなかった。

それでも何もしないで収入が0よりはマシだと割り切って、アタシもそれなりの適当な働きしかしていなかった。


時田はアタシの2つ年上だったから、社長にしてみたら1つ先輩にあたる。


アタシは個人的に時田と繋がりがある事を、あえて口にはしなかった。

なんとなく、その方がいいような気がして…