湊が教室に入って来るのが分かった。
…これは振り返っていいのかな?
…いや、顔見れないからやめておこう。
「…すまない。遅くなった」
「…い、いえ」
「…じゃあ、始めるか」
…あれ?なんか湊、疲れてる?
声がさっきより低い。
顔がいつもより険しい。
…さっきのが原因かな?
「…泉」
「はい」
「大分分かってきたみたいだな」
「でも、まだまだです」
「そうだな。まだほんの一握りしか範囲が終わっていない」
…あっ、いつもの湊に戻った。
…なんだったんだろ、今の。
これも、裏の顔なのかな?
「…お前は、やれば出来る。だからもっと自信を持て」
「はいっ」
なんか、湊に言われると自信が出てくる。
…なんでかな?
そして、また湊の授業が始まった。
教え方はやっぱり優しかった。
いつもそうしてればいいのに。
…でも、そのギャップにドキッとする。
「…じゃあ、この問題解いたら終わるか」
「はい」
あたしは必死で問題を解き続けた。
…あれ、あたしが解いてる間って湊何してるのかな?
あたしは気になって、チラッと横目で湊を見た。
…えっ。
その一瞬だった。
湊が眼鏡を外して、頬杖をついて寝ていた。
…その光景が可愛かった。
静かに、あたしに気づかれないように寝ていた。
しかも、誰も見たことがないと思われる寝顔と眼鏡を外した顔。
あたしは今、レアな二つの光景を同時に見ている!
…写真撮りたい。

