急に力がなくなって、わたしはその場に倒れた。川辺の岩がごつごつして痛い。でも、それよりもお腹と脚に刺さったままの矢が痛む。
首を上げて矢の刺さったお腹を見ると、白い毛が血で真っ赤に染まっていた。

矢を抜こうと手を伸ばしたけど、獣の足で矢を掴めるわけもなく、わたしは諦めてそのまま横たわった。

人間の体だったら、今頃わたしは死んでるだろう。
アオの傷はこれよりももっとひどかった。
でも、彼はもう...。

目が熱くなる。でも、獣の目から涙は出ることはなく、わたしは悔しさと悲しさに耐えられなくて目を閉じた。

ひどいよ...。



今頃アオは、もうこの世にいない。
天界に帰ってそこで罰を受けさせるってあの白い龍が言ってた。


そして、雪山猫になったわたしは、もう村へも帰れない。
ジンタはわたしを殺そうとした。
きっと、傷を負ったわたしを追って、雪山猫を退治しに村人を連れて来る。



殺されるのなら...大好きな村の人たちに、ジンタに殺される前に...死のう。


死ねば、きっとアオとまた会える。