「アオ!!!」
鳥居をくぐるなり、私は大声で叫んだ。手を膝において、切らした息を整える。
神社の周りにアオの姿はない。

「アオ!!」
もう一度叫ぶ。わたしの声が誰もいない神社の構内に響く。
わたしは苦しい胸を押さえながら拝殿と神殿の周りを歩いた。でも、どこを見てもアオの姿はない。拝殿の戸には錠がかけられていて、開かなかった。

「アオ!!いるなら出てきてよ!」
戸を叩きながら呼んでも、誰もでてこない。

「なによ。せっかく走って来たのに。」
待ってるって言ったのはアオなのに。
元気になったら来いって...。

走ってきたのがバカバカしく思えて、わたしは草の上に座り込んだ。
少しでもまた会いたいって思ったわたしが悪かったのかな。

ため息をつく。

どこか、出かけてるのかな...。それとも、会いたくないから出てきてくれないの?