しばらく黙りこくったまま、おれたちは空に打ち上げられる花火を見ながら並んで歩いた。お互い気まずくて会話もできずにいると、その空気に堪り兼ねたのかユキが妙に声を張りながら喋り始めた。

「なんだか懐かしいねー。いつ以来かな?こうやってシュウイチと花火見るの」

「ああ、そうだな・・・」

おれは気のきいた返事もできずただ頷いた。

「小学生のときはシュウイチのこと無理やり連れ出してよくきたよね」

いつの間にか、ユキの瞳は今目の前に輝く花火ではなく、記憶の中にある過去の夜空を映していた。

「あの頃のシュウイチは何に対しても消極的っていうか、わざと興味ないって顔していつも自分にブレーキかけてるみたいだった・・・。そんなシュウイチ見てるとどうしてもほっとけなくてつい手を引っ張っぱりたくなっちゃうんだよね」

思わず苦笑いが出た。確かにユキのいうとうり、おれはどうしようもなく情けないガキだった。でもそれはいつも隣にユキがいたからだ。当の本人は全くそれに気づいていないだろうけど、おれにとってユキは余りにも完璧すぎる存在だった。