結局、ミウとの思い出の場所といえばこの体育館しか残っていない


なのに、見たこともないミウの浴衣姿が頭に浮かぶんだ


今年も河川敷の上空に花火が上がる


光の大輪は一秒も形をとどめることなく、静かに闇に溶けて消えていく


その姿はミウにそっくりで、おれは突然笑ったり涙をこぼしそうになったりするから、今ではすっかり花火が苦手だ



今年も河川敷の上空に花火が上がる


おれは眩しすぎる光に照らされながら、消えいく光の先を追いかける



なんとなくその先にミウがいる気がして