「なあミウ・・・。才能って何かな?」


「え?」

おれの質問にミウは目を丸くした。

「おれに本当に才能があったなら・・・、おれが本当に天才だったなら・・・、あの時、なんとか出来たはずなんだ。一人でもなんとか・・・。でも、おれはあの試合・・・・・」

その瞬間、ミウの顔がおれの目の前に近ずいた。ボールは床に落ち、二、三度はねてゴール下を転がる。
鼻と鼻とがくっつきそうな至近距離。背中に回されたミウの腕が温かい。いつの間にか、おれとミウの唇は重なっていた。

時が静かに止まる。


「血の味がするね」

ミウはそういって笑った。