オラウータンみたいなオレンジ色の髪の毛に、口と顎には無精髭。ノースリーブのシャツとジャージとバッシュは全てアディダスで統一されている。

極めつけは、左腕を巻きつけるように走る真っ黒な龍のタトゥー。


このルックスはあの頃と全く変わってないようだ。


「なにやってんだ?あんた」

オレの質問を無視して、奴は持っていたバスケットボールを片手でこっちに投げつけた。


「しばらく見ない間に随分と偉そうになったな。姉貴からは聞いてたが、グレたってのは本当らしいな」

あんたには言われたくねえよ。そう心の中で呟いた。
このチンピラみたいなオッサンが、おれのオフクロの弟。つまり、おれの叔父であり、今朝夢のなかでおれを体育館に引きずり込んだ張本人だ。