なんてことだ。おれは心の中で落胆した。あの当時、練習試合が終ると、他校の女の子からメールアドレスを聞かれたり渡されたりすることがよくあった。好きと言われることはあっても、嫌いと言われることはなかったのに。
多分ミウのことも、そんな女の子の内の一人にしか見えていなかったのだ。
「悪い。やっぱりよく思い出しせない。けど、気に触ったなら謝るよ」
「別にいいよ。どんな理由でバスケするかなんて自由だから。それに、私は一度バスケから逃げた人間だから、シュウのこととやかくいう資格ないし」
花火大会でユキがいっていたのを思い出した。中学の時、ミウが部活をしていなかったのは本当らしい。
「それでもおれが嫌いになったんだろ」
ミウは少しうつ向いて、体育館の外に目を向けた。
「雨、やんだね」
いつの間にか、天井に打ち付ける雨の音は消えていた。ミウは体育館の扉を開け、空を見上げていった。
「ねえ、屋上いこうよ」

