「中二の秋。友達の彼氏がバスケ部のキャプテンをしてて、私はその友達に誘われて、休みの日にうちの学校でやってた練習試合を見に行った。試合はうちの中学が優勢で、点差は30点くらいついてたかな。友達はキャーキャー騒いで応援してたけど、私は結果の見えた試合に興味が無くて、友達を置いて帰ろうとしてた。その時、相手チームから一人の選手が交替でコートに出てきた。ゼッケンの番号は13番」


「まさかそれって・・・」


ミウはこくんと頷いた。


「その選手が入った途端、離れていた点差はみるみる縮まった。そして、ラスト2秒二点差。13番が右45度の3Pを打った瞬間、試合終了のブザーが鳴った。ボールは当たり前のようにリングに吸い込まれて試合は終わった。私が生まれて初めて見た生のブザービーター」

「感動した?」

ミウは笑って首をかしげた。

「友達はね。自分の彼氏なんてそっちのけで大興奮。でも、私は劇的なブザービーターより、もっと印象に残ったものがあったの」

ミウは転がっていたバスケットボールを拾い上げ、右45度の3Pラインに立った。ゆっくりとボールを構えシュートを打つ。