おれはユキの手から自分の携帯をむしりとった。フラップ開いて数秒後、愕然とする。アドレス帳、メールBOX、着信履歴、全ての機能からミウに関するデータが消えていた。

「どういうことだよ!ユキは何を知ってるんだ」

ユキは首を横に振りながらいった。

「わからない。私にも何が起こっているのかわからないの。でも、多分そろそろ終わりが近づいてるんだと思う」

「ユキ、さっきから意味が分からない。おれに分かるように説明してくれ」

ユキは手に持っていたバスケットボールを両手でシュートした。綺麗なシュートフォームだが、ボールはリングにガツンと弾かれて床に落ちる。

「ミウは死んだの。夏休みの始まる一週間前、交通事故で」

ウソだろ。そんな言葉すら出せないほど、ユキの目に偽りの色はこれっぽっちもなかった。