しまった。舌打ちをして、おれが前に詰め寄った時、ミウは既にシュートモーションに入っていた。3Pラインの1メートル後ろ。普通こんなところから自信を持ってシュートを打つ奴なんていない。だが、おれは驚かなかった。ミウなら決める。ここで3Pを決められたらスコアは20‐21。逆転負けだ。
おれは、少しでもミウにプレシャーを与えるため、倒れ込むように右手を伸ばしジャンプしたが遅かった。ボールはおれの指先にもカスることもなく、高い弧を描いて飛んでいく。多分ミウは外さない。そう思いながらも、おれは最後の悪あがきにでた。ミウに背を向け、そのまま体の体重をミウにあずける。ボックスアウト。体格差のあるミウにするのは卑怯な気がしたが、そんなことはいってられなかった。確実にリバウドを取るにはミウを押さえ込むしかない。ボールは最高到達点を通過し、フープ目掛けて降下する。
ガラガガラ!
ボールがリングに吸い込まれたと同時に、リングの後ろにある体育館の重い鉄扉が突然開いた。
そこに立っていたのはミウと同じ制服を着たユキだった。なんでこんなところに。おれがそう思った時、ユキが呟くようにいった。
「ミウ・・・」

