語尾についているハートマークが余計におれをイラつかせたが、電話で文句をいう時間も無かったので、おれは短く了解、と返信を打った。

忍者のように学校に忍び込み、体育館の思い鉄扉を開けたのは、一時十分前。
猛スピードで自転車をこぎ、息をきらせて体育館に入ったおれをミウは拍手で出迎えた。

「だんだんわかってきたじゃない。キッチリ10分前!エライぞシュウ。ご褒美あげる」

とりあえず何から文句をいってやろう。息をととのえながら考えるおれに、ミウはポカリを投げた。

「モップガケはやっといたから早速やろうよ」

ポカリを一口で半分ほど飲み干して、おれはいった。

「ちょっと待てよ。今日はイロイロといいたいことがある」

「なになに?ユキとは上手くいったの?もしかして付き合っちゃうとか」

ミウはキャーキャー、とはしゃぎながら一人で盛り上がっている。おれはイラつきながらいった。

「ふざけるなよ。そんなわけないだろ。聞いてないぞユキと知り合いだったなんて」

ミウは悪びれる様子もなく、あっけらかんといった。

「当たり前じゃん。いってないもん」