珍しい生き物を見るように、大島は一瞬目を丸くした。山里たちと顔をあわせたあと、急に声をあらげる。
「どうだっていいんだよバーカ!」
大島の声に会場がざわめきたった。勝っても敗けても、いつもヘラヘラしているヘタレキャプテンとは思えない大島の顔つきに、おれは少し圧倒されてしまった。
「調子のいい時だけチームプレーとかいいたいのか?そんなに勝ちたいんなら、お前一人で試合しろよ。おれたちはもう、うんざりだ」
大島は、鼻と鼻とがくっつきそうな距離までおれに顔を近づけて、睨みをきかせた。
「たかが学校の部活だろ。こっちは内申が良くなるから三年間、我慢してやってただけなんだよ。おまえだって、自分が目立ちたいだけで、勝ち負けなんてどうでもよかったくせに、勝手なこといってんじゃねえよ」
大島はそれだけいうと、いつものヘラヘラした顔に戻り、おれの肩をポンと叩いた。遠目から見ればさぞかし仲の良いチームメイト。
「バスケ推薦決まったんだって?良かったじゃないか。だけど、中学最後の試合がこんな無様な試合で、推薦取消しになんてならないといいけどな。それはそれでいいきみだけど」

