敵に情けをかけられ、3Pも決められ、おまけにフリースローまでプレゼント。ケイトはまず間違いなくフリースローを落とすことはないだろう。

点差はさらに4点も開く。
ベンチでは山里がアップをすませ、交替を待ちわびるようにアキレス腱を伸ばしていた(ここまでか)。
屈辱的な敗北だった。審判が腕をクロスして交替のコールをする。おれは最後にケイトに向かっていった。

「おれの負けだ」

フリースローラインに立ったケイトは、ゆっくりとこっちを振り返った。

「マダ勝負ハついてイマセン」

最後まできれいごとの多いやつ。おれは性格同様、顔まで綺麗に整った色白のイケメンにいった。

「終わったんだよ。アンタのいうとおりおれは勘違いしていた。おれの摘はアンタでも、アンタのチームでもなかった」

ケイトは感情の読めないビーダマみたいな青い目でおれを見た。

「そうデスカ」

審判が早くしなさいとおれに向かって交替を促す。おれは最後にケイトにいった。

「1対9じゃどうしょうもないよな」