「なあ、この悪夢はいつまで続くんだ?」
消えた少年に問いかけても答えは返ってこなかった。こっちの意見、要望は相変わらず一切無視。
おれはもう、再生される記憶を止めようとはしなかった。
止めようとしたって無駄だし、止めれたところで過去が変えられるわけでもない。
所詮、記憶は記憶、夢は夢、過去は過去だ。
いいだろう。気のすむまで付き合ってやる。おれは体育館の床にあぐらをかいて座り込んだ。もうすぐハーフタイムも終わる。ふと二階の観客席を見上げると、そこには何故かいるはずのないミウの姿が目に映った。
ミウは寂しそうな顔をしながら、コートを見下ろしていた。そして座り込んでいるおれと目が合うと、ニコッと笑って手を振った。
鮮明に再生されているはずの記憶に、何故こんなバグが出てくるんだろう。おれは、例え夢であっても、この試合をミウには見られたくなかった。
せっかくミウと夢で会うなら、ミウとキスした日の夢でも見れればいいのに。そんなことを考えていると、突然後ろからミウの声がした。

