レイアップ



ここぞとばかりに得意気に絡んできたのは、さっきおれと交替させられたフォアードの山里だった。

チームいちキシャで体力も無い山里は、そこそこのシュートセンスは持ってはいたが、バテるとあからさまにシュート確率が落ちて、シュートセレクションもメチャクチャになる。いつも流れを悪くしているのはこの山里だ。

おれは飲みかけのポカリを山里に投げていってやった。

「お前の出番なんてもうねえよ。実力の無いビッグマウスはベンチで吠えてろ。喉が渇いたら飲めよ」

ポカリをキャッチした山里は、顔を真っ赤にしながらギャー、ギャーと叫んでいたけど、これ以上奴に構うのも時間と体力の無駄だったので、おれはあっさり無視を決め込んだ。

「コラ!お前ら何を騒いでるんだ。無駄な体力つかってないでしっかり休め」

監督の一括でベンチはやっと静かになった(たまには良いこともいうもんだ)。
おれは初めてこの監督と意見が合った気がした。