「あーあ、せっかくいい流れだったのに14点差もついちゃったな」
おれがベンチに戻ると、うちのチームのキャプテン(おれは全然キャプテンだとは思ってないけど)の大島が、わざとおれに聞こえる声でスタメンメンバーと話をしていた。
チームいちガタイのいい身長と体力だけが自慢のセンターがキャプテンを務めるこのチームは、いつもこの大島の周りに、金魚の糞のようにまとわりつくその他メンバーと、その輪から外れているおれという構図で成り立っていた。
「向こうのシックスマンはスゴいよなー。日本人じゃないのにしっかりチームワークもとれててさ。ナンバープレーなんてうちのチームじゃ絶対ムリだぜ」
いつものようにヘラヘラとおれへの当てつけで喋る大島の話を、他のメンバーもニヤニヤと笑いながら聞いている。その内の一人が、端のベンチに座っているおれに向かっていった。
「ホントだよなー。おい桐山、マジで頼むぜ。いい加減暴走すんのヤメてくれよな。お前の個人プレーが通用するレベルじゃないんだからさ。おれが戻るまでこれ以上点差広げないでくれよ」

