第2Qがあっという間に終わろうとしていた。おれが取った得点は、ルーズボールを運よく拾ってシュートした3P一本だけ。対してケイトは既に12得点。おれはケイトに、いやケイトのチームに、完全に押さえられていた。
ケイトが入ってから、接戦だった点差がみるみる開いていく。こんな試合は初めてだった。たった一人の本物が入っただけで、大して実力のない奴らまで、化学変化でもしたかのように強く感じる。今まで見たことないPG。まるでリングにボールが入るまでのビジョンが見えてるかのように、ケイトのゲームメイクにはオフェンスにもディフェンスにも、一切の無駄がなかった。
「ナンバースリー」
ケイトがまた三本指を立ててナンバープレーの指示を出す。さっきのプレーと同じく敵のセンターがハイポストに上がってくる(そう同じ手が何度も通じると思うなよ)。
おれがセンターへのパスを警戒してディフェンスの間合いを開けたその時だった。ボールはおれとセンターの頭上を通り越し、パシュッと快音を鳴らしてリングのネットを揺らした。

