レイアップ



日本人にもアメリカ人にもモテそうなイケメンのハーフは、おれの挑発を涼しい顔で無視した(スカシやがって)。

「日本語通じてる?アーユースピークジャパニーズ?」

おれのトラッシュトークを気にも止めず、ケイトはボールとおれの両方を視界に入れながら、少し間合いの空いたデフェンスをとる。顔は相変わらず無表情のままだ。どうやら性格は陽気なアメリカ人(あくまで勝手な予想)の血は継いでいないらしい。

そんなことを考えながら、おれは一つ気になっていた。あまりにもディフェンスのプレッシャーが無さすぎる。まるで、おれにボールが入るのを待っているように、ケイトはパスコースさえ塞いでいなかった。

ケイト以外のメンバーは、自分のマークマンにへばりつくようにしっかりとディフェンスしている。

「そんな腰だかなディフェンスでおれと1ON1するつもりか」

今まで必死でディフェンスを振り切ってパスを受け取るのが当たり前だったおれにとって、ケイトのザルのようなディフェンスは十分おれの勘に触った。